今日(9/16)のHarvard Business Reviewに、イノベーションの成果は、何で測定すべきかという記事がありました。阿部梨園はイノベーションというほど大げさな取り組みをしているわけではありませんが、どの指標で私たちの経営状況を把握するかよく考えています。その点でわかりやすく示唆的な記事でした。
記事では評価指標には2種類あると書いてあります。
そもそもKPI(重要業績評価指標)とは(Wikipedia)
アクティビティ指標
どれだけ行動したか、インプットで測るもの。
1つ目は我々が「アクティビティ指標」と呼ぶもので、これはイノベーションという船のボイラーにせっせと燃料を投入するような活動を測定する。例としては「何人の社員がリーン・スタートアップに関する研修を受けたか」、「現在検討中の新しい製品アイデアはいくつあるか」などだ。たとえば、回答者の3分の2が「開発パイプラインにあるプロジェクトの数を追跡している」と答えた。
インパクト指標
どんな成果が出たか、アウトプットで測るもの。
もう一方の評価基準は「インパクト指標」で、これはイノベーションの船が実際にどこかに動いている形跡を測定する。新規事業のマーケットシェアやコスト削減率、利益率などが例である。たとえば、回答者の間で最も広く使われていたのは「新しい製品・サービスが市場投入後の最初の数年間に生み出した収益」で、全体の69%がこのデータを収集していると答えた。
阿部梨園では
私たちは単月あたりどれだけの経営改善(プロミス)ができたか、またどれだけの改善提案(アイデア)が出たか、を一番大切な指標としています。つまり、アクティビティ指標を、インパクト指標に相当する売上や利益よりも重要視しているということです。売上や利益を浅い階層のKPIとするなら、経営体質のテコ入れは深い階層のKPIです。変化が成果として表れるまでに時間差があるのも自明かと思います。
近視眼的に目先の利益を追うのではなく、変化の結果として事業目標を達成したいという狙いです。これは口で言うのは簡単ですが、非常な忍耐を強いられます。まず先行投資としての属性が強いので、資金繰りに持久力が必要です。また例えばトラブルに対する対処でも、その場しのぎではなく、原因究明と根本からの改善が求められるので、精神的な負担があります(人の習慣に帰結することが多いので)。
日々忙しない業務に追われながらも、プロミスとアイデアの管理には毎日時間を割いています。これもまた負担ですが、この習慣が阿部梨園の本質そのものになり得ると思い、大切にしています。小さな農業経営体にすぎませんが、この辺は真剣に悩みながら取り組んでいます。真似をできるような例がないということは、私たちの悩んだ軌跡にも少しの新規性があって、いつか日本の農業のためになるのではないかと夢想しています。
まだ私たちは、外面に溢れ出るほど、変化ができているとは思いません。そしてこれからも苦しい忍耐は続きます。それでも、内面の改善箇所を少しずつ減らしているという実感と、小さな自信があります。この努力が、商品(梨)やサービスに還元されて、お客様にもっと喜んでいただくというかたちで報われることを楽しみにしています。