オフシーズンに入りましたので、佐川は経理(会計)業務に入りました。1年分のお金の勘定を整理して、記帳しています(まとめては大変なので、来年は月〆にしたいものです)。あいまい、勝手、になりがちな個人農家の経理。そこにメスを入れるプロセスは一筋縄ではいきません。財務・会計は商品力と同じくらい大切な、競争力の源泉です。適当なお金の使い方をしている限りは、適当な梨ということになってしまいます。
今まではパッケージの会計ソフトを使用していましたが、今年からはクラウド会計に移行しました。クラウド会計分野は「freee」と「MFクラウド」という2つのサービスがしのぎを削って似たようなサービス、料金設定になっています。結局「freee」にしましたが、両方とも試用した上でどちらにするか随分悩みましたので、使い勝手や感想をまとめたいと思います。
クラウド会計サービスとは
パソコン上にソフトや会計データを保管する従来のパッケージ会計ソフトとは違い、インターネット上のサーバーに会計データを保管するサービスです。
メリット
- インストール不要、どの端末(パソコン、スマホなど)からでもアクセス可
- 銀行、クレジットカードなどの取引明細を取り込み、自動で仕訳してくれる
- 簿記がわからなくてもなんとかなる(もちろんわかるほうがベターです)
デメリット
- 独自の機能追加はできない
- 大規模、複雑な会計には向いてない
- セキュリティリスクがゼロではない(ほぼ安心ですが)
国内の有名なサービス
あたりですね。
freeeになった決め手
freeeとMFクラウドで迷いました。競争しているだけあって、機能やサービス内容に大差ないからです。
freee | MFクラウド会計 | 比較結果 | |
---|---|---|---|
料金 | 9800円/年 | 8800円/年 | = 大差ない |
使いやすさ | 直感的 | 簿記感覚 | = どちらも良さがあっていい |
連携サービスの数 | ほぼ網羅 | ほぼ網羅 | = 今後も切磋琢磨しそうで大差ない |
勘定の細分類 | ◎部門/品目/タグの分類が秀逸 | ○補助科目が使いやすい | > 分類毎の集計ができるfreeeが有利 |
レポート(分析) | ◎部門/品目/タグ | △ | > 分類毎の集計ができるfreeeが有利 |
結局、細かく丁寧に分類、分析できることが決め手でfreeeになりました。とにかく、分類ごとの集計が便利ということです。管理会計っぽいことをしたいからです。管理会計についてはまた別な記事を書きたいです。
取引先別のレポートも簡単です(画像内のデータは阿部梨園のものではありません)
勘定科目別もわかりやすいです(画像内のデータは阿部梨園のものではありません)
阿部梨園的な使い方
外部のサービスと連携する
freeeと同期して使う予定のサービスは以下のとおりです。全ての会計の過半をカバーしていると思います。直接取り込むことのできない現金決済を減らせば、事務コスト(手間)が少なくなります。
- 銀行口座
- クレジットカード
- タブレットレジ
- 請求書発行サービス
- Askul
いずれはECサイトなども接続するつもりです。何でもデジタルで繋いだほうが速くて性格です。
領収書類のデータ保存
外部データと同期できない、現金決済した領収書/レシートなどについてです。
領収書は原本での保管が原則ですが、3万円未満は電子保管(スキャンしてPDFなど)での保管が許されています。そして来年にも法改正で「3万円未満」の条件も廃止される見込みのようです。いずれ気持ちよく原本を捨てるためにも、全て電子保管しています。今はスマホで1枚ずつ撮影してfreeeのアプリ経由で取り込んでいますが、Scansnapなどのスキャナを使えば高速処理も可能です。
仕訳
freeeに画像/PDFをアップロードすると、画像内の文字を自動で読み取って(OCR)、データ化してくれます。日付、金額などはなかなかの精度で読み取ります(手書きは難しいです)。ホームセンターのレシートであれば勘定科目を「消耗品」にしてくれたり、自動で仕訳を提案してくれたりもします。オマケみたいな精度の自動読み取り機能ですが、何もないよりは随分と速いです。読んでくれなかったところは手入力しています。
※ ちゃんと読み取りたい場合は領収書/レシートの仕訳代行サービスが便利です。MerryBizというサービスは25,000円/500仕訳となかなか低コストです。人が目視で読み取っているとのことで、99%の精度を謳っています。
部門/勘定科目/品目/メモ、に分類します。「部門」は梨と米/野菜を分けたりします。「勘定科目」は概ね通常の青色申告のフォーマットに準じています。「品目」は補助科目のように使っています。
「メモ」タグは更に細かく分類したい場合に使います。例えば、交通費に「交際」や「納品」、「出張」などのタグを付けて、目的別で細かく分類するのに使います。余談ですが、タグという概念は、(フォルダのような)入れ子構造になっている補助科目の概念よりも便利です。横断できるからです。Gmailがフォルダではなくタグを使っているのと同じ考え方です。
どのサービスにしようか迷っている方へ
サービスが乱立しているので、選びかねる方もいると思います。freeeにするかMFクラウド会計にするかだけでも十分悩めます。そんな方へのメッセージは「どれでもいいからまず何か1つ使ってみよう」です。freee⇔MFクラウド会計でのデータ移行、つまり乗り換えはそれなりに簡単にできるからです。クラウドかパッケージかだけをまず考えましょう。そしてその答えはクラウド1択です。